アウトプット志向のお薦め
年齢を重ねるごとに、自ら手を動かしてアウトプットを作成する機会が減ってくる。それは世の中が見えてきて、要領も分かってくるので、自身が手を動かさなくても事足りることが増えてくるからだ。
企業の役職者になると、さらにそれは顕著になる。部下が資料を作ってくれるからだ。部下が作った資料に、ああだこうだと注文をつけ、自分が満足する形に仕上げさせることができる。社内会議では、部下が作った資料を、もっともらしく説明すれば事が済む。自ら手を動かすのは、メールを打つ時くらいになってしまう。
小学校から大学の卒業までは、ドリル・宿題・レポートの連続で、必ずアウトプットの作成が課せられていた。社会に入って20代・30代の若いうちは、提案書や企画書、会社の資料作りなど、アウトプットの作成の連続だ。ところが、40代を超えたあたりから、アプトプットを作成することが一気に減ってきてしまうのだ。
この状態に、危機感を持つ人はどれくらいいるだろうか?
アウトプットが出来上がるまでのプロセスは、大きく三つに分かれる。
インプット⇒トランザクション⇒アウトプットのプロセスである。これは、工場の製造工程でも、料理を作る過程でも、業務で何かの資料を作る時でも、同じだ。
アウトプットを作成する上で、重要なプロセスはトランザクションにある。ここで付加価値を生み出すからだ。工場の製造過程でも、料理でも、企画書作りにおいても、トランザクション次第でアウトプットの価値が変わってくる。トランザクションにおいて、手を抜けば質の悪いものができる。トランザクションの過程で、斬新なアイデアや知恵が入ってくれば、俄然アウトプットの価値が高まる。
トランザクションの過程は人間の思考そのものだ。主体的にアウトプット作成に関わることで、人の脳は刺激を受け活性化される。対して、受動的に資料を見て、あれこれと言うだけでは、ただ条件反射しているだけで、脳は活性化していない。
これは持論だが・・・男性が加齢とともに衰えていく傾向にあるのに対し、女性は元気で居続けることが多い。その要因の一つとして、世の多くの男性が「料理」という脳を使うアウトプット行為に手を出さないことにあると考えている。
10代・20代は、脳の吸収力と柔軟性があるので、溢れるほどのインプットに対応できる。ところがこの年代では、インプットの加工や組み立てには対応できても、知識と経験値がまだ少ないため、新たな付加価値を生むことは、なかなか難しい。
一方、年齢を重ね40代・50代になってくると、知識と経験値の引き出しが増えてくる。少量のインプットに対して、知識と経験値を組み合わせることが出来るようになり、アウトプットの質を高めることが可能になるのだ。
私が、中高年の皆さんに対し、アウトプットを作るという行為に積極的になるべきだと言っている理由はここにある。インプットに対し、経験値と知識が重なり、そして融合していく。すると、より深みのある、胸を打つようなアウトプットが出来上がってくる。
会社の企画書や提案書作りに限らず、料理・日曜大工・工芸・文筆・演舞等々、アウトプットできる行為は沢山ある。さらに現代では、そのアウトプットを「作品」として発信できるツールもSNSを筆頭に複数揃っている。
年齢を経ても、面倒くさがらず、臆せず、勇気をもってアウトプットを作成し続けていくことを、強く推奨します。
FIN. June 10th, 2022